妙春堂の日常ーアラフィフ婚のすゝめー

アラフィフ婚にむけての日常つれづれ日記

2022.01.12 勢いは大事

昨夜視ていたテレビで紹介されていた小説を、衝動的に購入してしまった。

昨年10月に発売された作品で、当然まだ文庫化されていない。ハードカバーの単行本なんて重たいしかさばるので、どんなに人気の作品でも大抵は文庫化されるまで待つ派だった私が、今回はついつい貴重な昼休みを使ってまで買いに走ってしまった。

 

テレビで紹介されていた時点で、社会問題に関わる内容だと分かったし、そういうの苦手な私としては「読むまい」と思った。きっとつらくなるだけだから。

更に作者が「(自著のなかで)唯一ハッピーエンドではない」という意味のことまで話していて、益々読むことはないだろうと思った。だって、ただでさえ毎日がつらいのに、わざわざつらい物語を読む必要なんてあるのか?と。

 

でも、買っちゃった。

それこそわざわざ確実に手に入るように、職場近くの大型書店のウェブサイトから在庫を確認したりした。一番利用している書店にはあいにく在庫がなかったけれど、駅中の書店にはあると分かり、寒い中を出掛けて行った。

 

まだ数ページに目を通しただけだけれど、とても読みやすい。テンポが良くて、著者の知識の豊かさや表現力の高さが強烈に伝わる。私のような単純な奴は、簡単に引き込まれそうだと感じた。

だからこそ怖い。

感情移入して、登場人物と一緒に鬱々してしまったらどうしよう。鬱病なのに、自ら鬱展開の世界に飛び込むって危険行為じゃないのか。

 

それでも私がこの作品を手に取ったのは、たぶん登場人物の中にヤングケアラーがいると見たから。テレビでの作品紹介の中で、主人公の友人が家族の介護を云々と語っていたから。

 

いまでこそ注目されるようになった『ヤングケアラー』

若くして祖父母や親の介護を担う人々のことで、まず社会的援助を受けられていないか、受けられても充分ではないケースが多い。

私の高校時代の知人がまさにそれで、両親が働いていたから祖母の介護を任され、その後は母の介護。次いで父の介護と延々と続き、それが原因で停職にも就けず、アラフィフになった。なんと成人式の晴れ着すら整えてもらえずじまいだったと言う(その話は後々になって聞かされた)

現在彼女とは音信不通だが、せめて今は自由になっていることを願ってやまない。

 

このヤングケアラーについて問題提起してくれた方には感謝しかない。

そして、この作品の内容によっては更に社会が変わっていってくれるかもしれない。

淡くてもいい。期待を持ちたい。介護の現実と、希望を持てないでいる若い人の存在をもっと世間に知ってもらいたい。

 

大変読むのが遅いので、いつ読了出来るのかは分からない。でもその時はここに感想を述べようと思う。

案外私の予想していた内容とはかけ離れていて、上述の内容がてんで見当違いな可能性もある。

でもいいや。きっと読まずにいるよりは、私はなんらかの変化をしているはずだから。

勢いと思い付き、これからも大切にしていきたいと思う。